朝日焼の十六代目 松林豊斎さんってどんな人?!

朝日焼松林イメージ
みなみ
こんにちは、京都生まれ京都の宇治出身のみなみです。

日本の茶所として最も古い歴史を持つ京都の宇治。
そこには、そのお茶と同じく古い歴史を持つ遠州七窯の一つ「朝日焼」の窯元があります。

四百年もの間、宇治の土を使った焼物の技術を受け継ぎ、そして今なお新しい焼き物の方向性を模索しているのが、朝日焼の十六代目「松林豊斎」さんです。

今回は、その松林豊斎さんの生い立ちと、朝日焼の新たな取り組みをお話していきましょう。

十六代目の襲名まで

現十六代目松林豊斎(松林佑典)さんは、朝日焼十五代目松林豊斎の家の長男として生まれました。
子供の頃から朝日焼に携わる家族と職人達に囲まれ過ごし、そして幼いながらも焼物に関わる物事に心が騒いだそうです。

大学の法学部を卒業し海運関連の仕事に付き、その後に京都府立陶工訓練校にて轆轤(ろくろ)の技術を学ぶと、父である十五代目松林豊斎の下で朝日焼きの本格的な修行を始めました。

朝日焼の修行を始めて10年ほど経った頃、父でもあり師でもある十五代目松林豊斎さんが亡くなられ、その半年後、佑典さんは十六代目松林豊斎の名を襲名するに至ります。

多角的な芸術活動

十六代目松林豊斎を襲名する前から佑典さんは、一つの芸術活動に参加してきました。
それが世界へ向けて京都の伝統工芸品を発信するプロジェクト「GO ON(ゴ オン)」です。

この「GO ON」には京都の誇る6つの伝統工芸品を扱う老舗の職人が集まりました。
西陣織の細尾からは細尾真孝さん、竹工芸の公長齋小菅からは小菅達之さん、木工芸の中川木工芸からは中川周士さん、茶筒の開化堂からは八木隆裕さん、金網工芸の金網つじからは辻徹さん、そして陶芸の朝日焼からは松林佑典さんです。

この誰もが、京都の歴史と共に歩んできた伝統工芸を担う次世代の跡取りであり、そして十六代目松林豊斎さんもその一人として参加し、互いに技術と感性を高め合い、その相乗効果が生んだ作品は海外で高い評価を受けました。



朝日焼の新しい取り組み

朝日焼には、伝統を伝えながらも、時代の潮流も逃さないという姿勢があります。

日本の中でも早い段階で青磁の技術を取り込んだ事や、新しい技術を使った窯の作成、それらの物を昇華し新しい朝日焼を模索するといった事を歴代の朝日焼き職人は行ってきました。
これらの行動には、朝日焼を長年受け継いできた松林家の家訓の一つに「伝統は守るものでなく、攻めるものである」という教えが有ったからかもしれません。

そして、十六代目となった松林豊斎さん自身も、日本の中でのみ収まるのではなく、西欧諸国の焼物の窯元まで出向いて学び、国内のみならず海外の美術館での作品展示や茶会を催すなど、様々な活動を行っています。
近年では、朝日焼きの新たなる取り組みの一つとして「朝日焼 shop & gallery」という、朝日焼と宇治の茶の文化を広める為の場を宇治市の一角に作りました。

十六代目となってまだ長い年月が過ぎた訳ではありませんが、新しい松林豊斎さんが生み出した、この「朝日焼 shop & gallery」の取り組みは、朝日焼を次世代へと繋げる為の第一歩となるのではないでしょうか。